経歴
陳 雨宣
構造設計・マルチフィジックス解析エンジニア
横浜市在住
民生電子機器、車載光学、パワーエレクトロニクスの製品開発に従事してきた。構造検討から 3D モデリング、2D 図面、寸法公差設計、マルチフィジックス解析、DFM、試作評価、設計変更までを一貫して担当できる。精密機構の設計、放熱と寄生インダクタンスを両立させる構造最適化、NPI における工程立ち上げと品質不具合の解析に実務経験がある。
職務経歴書(PDF)職務経歴
2025年5月 – 現在日本
パワーモジュール構造設計・解析エンジニア
パワーエレクトロニクス(車載・太陽光インバータ用パワーモジュール)
- パワーモジュール 2 機種の構造開発を担当し、プロトタイプ試作 2 回に参画した。CATIA でチップ配置、AMB、クリップ、端子、バスバー、冷却器、ケースなどを設計し、部品図・組立図を 50 枚以上出図した
- COMSOL で熱・流体・電気・応力の連成モデルを単独で構築し、正式な解析ケースを 10 件以上実施した。解析、DFM、加工、試験の結果を踏まえた構造の設計変更は累計 100 回以上
- Rainbow Studio で主回路を区間ごとに分割してインダクタンスの大きい部位を特定し、バスバー、クリップ、チップ配置を最適化した
- プロトタイプ評価用 PCB を KiCad で設計した。試作治具 4 セットを設計・導入し、組立・試作 SOP を作成した
- サプライヤーとの DFM 検討から初品確認、電気特性・熱抵抗の測定、課題のクローズまでを、中国・日本・韓国のエンジニアと連携して推進した
業務プロジェクト
小型単相ハーフブリッジ SiC パワーモジュール高電力密度インバータ · 構造・熱・インダクタンスの同時最適化主回路寄生インダクタンス ≈ 7 → 3 nH熱抵抗 Rth(j-c)(1 スイッチあたり) 0.10 K/W 未満
課題と制約
高電力密度インバータ向けの小型 SiC パワーモジュールでは、限られた面積の中で主回路の寄生インダクタンスと熱抵抗をともに下げつつ、実装・組立工程の制約も満たす必要があった。
手法と判断
AMB、クリップ、端子、バスバー、ピンフィン、ケースの構造設計を担当した。電流ループを短縮し、P/N バスバーを上下に積層して磁界相殺を利用した。チップ配置と冷却構造を合わせて調整し、熱流体解析と寄生インダクタンス解析で案を比較して、電力密度、インダクタンス、熱抵抗のトレードオフを判断した。
結果と検証
寄生インダクタンスを約 7 nH から約 3 nH に低減し、熱抵抗 Rth(j-c)(1 スイッチあたり)を 0.10 K/W 未満とした。プロトタイプの実測値と解析の相関を検証し、設計目標を達成した。結果はその後の設計変更に反映した。
担当範囲
上記の構造設計と熱流体・寄生インダクタンス解析を担当した。設計レビューとプロトタイプ試作はチームで進めた。
関連ページ(個人プロジェクト。一般的な構造の模式図であり、本プロジェクトの製品とは無関係):SiC ハーフブリッジパワーモジュール、バスバーのジュール発熱解析、ピンフィン冷却器の解析。
主な指標
- 主回路寄生インダクタンス
- ≈ 7 → 3 nH
- 積層バスバー、転流ループの短縮
- 熱抵抗 Rth(j-c)(1 スイッチあたり)
- 0.10 K/W 未満
- チップ配置とピンフィン冷却構造の最適化
800 V 6in1 中性点クランプ型 3 レベルパワーモジュール太陽光インバータ · 積層バスバーによるループインダクタンス低減長ループインダクタンス 24 → 14 nH短ループインダクタンス 18 → 8 nH
課題と制約
800 V 太陽光インバータ用の 6in1 中性点クランプ型 3 レベルモジュールは、転流経路が多くループも長い。寄生インダクタンスがスイッチング時のサージ電圧と損失に直接影響する。
手法と判断
AMB レイアウト、クリップ、端子、バスバー、ケースなど主要構造の設計を単独で行い、チップ配置と冷却器はチームでの検討後に CAD 化した。P/N バスバーの上下積層による磁界相殺と電流経路の最適化で、ループインダクタンスを低減した。
結果と検証
長ループインダクタンスを 24 → 14 nH(約 42% 低減)、短ループインダクタンスを 18 → 8 nH(約 56% 低減)とした。寄生インダクタンスのモデル化から、サプライヤーとの DFM 検討、プロトタイプ試作、電気試験のフォローまでを担当し、実測結果は解析の傾向と一致した。
担当範囲
主要構造の設計は単独で担当した。チップ配置と冷却構造はチームで検討し、CAD 化は本人が行った。
主な指標
- 長ループインダクタンス
- 24 → 14 nH
- 約 −42%
- 短ループインダクタンス
- 18 → 8 nH
- 約 −56%
2023年7月 – 2025年4月中国
車載レンズ NPI・FAE エンジニア
車載光学
- 主担当としてゴースト、MTF、外観の歩留まり改善を推進し、それぞれ 80% → 95%、60% → 80%、80% → 95% に向上させた(下記プロジェクト参照)
- 3 項目の改善を累計約 5 万個のレンズで検証し、改善後に量産試作を 2 回実施して約 2 万個を出荷した
- 組立から梱包・輸送までの工程フローを設計し、SOP、コントロールプラン、PFMEA、8D を作成した。自動組立機の立会検収に参加した(検収時の歩留まり 98%)
- 検査・ディスペンス・レンズ組立用の治具を設計・導入した。日本の顧客との定例会議や設備関連の個別協議に日本語で参加した
業務プロジェクト
車載レンズの歩留まり改善EVT–DVT 段階 · 根本原因分析と工程改善ゴースト歩留まり 80 → 95%MTF 歩留まり 60 → 80%外観歩留まり 80 → 95%
課題と制約
EVT–DVT 段階で車載レンズのゴースト、MTF、外観の歩留まりが低かった。設計がほぼ凍結された状態で根本原因を特定し、工程を安定させる必要があった。
手法と判断
部品入れ替え、回転試験、分解調査、DOE により、スペーサの干渉と厚みばらつき、レンズの偏心・チルト、圧入力、接着剤の塗布量などの根本原因を特定した。公差、構造、工程、受入検査の改善を推進し、検査・ディスペンス・レンズ組立用の治具を設計・導入した。
結果と検証
3 項目の歩留まりをそれぞれ 80% → 95%、60% → 80%、80% → 95% に改善した。累計約 5 万個で検証し、改善後に量産試作を 2 回実施して約 2 万個を出荷した。量産試作での歩留まりは検証段階とほぼ同等であった。
担当範囲
主担当として 3 項目の改善を推進した。SOP、コントロールプラン、PFMEA、工程フロー図、8D を作成し、日本の顧客との定例会議や設備関連の個別協議に日本語で参加した。
関連ページ(個人プロジェクト。一般的な構造の模式図であり、本プロジェクトの製品とは無関係):車載カメラレンズ。
主な指標
- ゴースト歩留まり
- 80 → 95%
- MTF 歩留まり
- 60 → 80%
- 外観歩留まり
- 80 → 95%
- 約 5 万個で検証。改善後の量産試作 2 回で約 2 万個を出荷
2023年2月 – 2023年6月中国
機構設計エンジニア(インターン)
民生電子機器・スマートフォン
- Creo で防水フォーム、両面テープ、バッテリーカバー部品、SIM トレイなどの部品を設計し、PLM 上の図面を管理した
- 表面実装ナットの脱落:OSP から無電解金めっき(ENIG)に変更し、検証ロットの不良を 32/100 → 0/100 に低減した
学歴
2019年9月 – 2023年6月
南昌大学(中国の国家重点大学「211 工程」指定校)
機械設計製造及びその自動化専攻(機械工学系) · 学士(工学)
- 学内奨学金:一等 1 回、二等 3 回
- 卒業研究:ZED ステレオカメラによる物体認識を用いた四足歩行ロボットの自律ナビゲーション制御。ソフトウェアを単独で設計し、ハードウェアのデバッグにも参加した。測距精度 95%、ヨー角の平均誤差 0.47°
スキル
- 構造設計CATIA(熟練)、Creo(熟練)、SolidWorks・AutoCAD(使用経験あり)。部品・組立設計、GD&T、公差・はめあい、材料・表面処理、DFM、図面出図
- マルチフィジックス解析COMSOL(伝熱、層流、電流・ジュール発熱、熱応力、非等温流れ)。材料物性、接触熱抵抗、境界条件の設定
- パワーモジュール・電子設計AMB、クリップ、端子、バスバー、ピンフィン、ケース。Rainbow Studio(寄生インダクタンス解析)、KiCad(評価用 PCB)
- 試作・品質プロトタイプ試作、治具・SOP、サプライヤーとの DFM 検討・初品確認、DOE、PFMEA、コントロールプラン、8D、根本原因分析、歩留まり改善
語学
- 中国語ネイティブ
- 日本語JLPT N2(2022 年、143/180 点)。日本の職場で技術的な議論、顧客・サプライヤーとのやり取り、技術文書の対応を日本語で行っている
- 英語TOEFL iBT 100 点(2022 年)